桜が舞い、君に出逢う。
「くっ、ははっ!何だそれ。」

雲龍大和君は、少し目つきの悪い目を

キュって細めて、苦しそうに笑った。

それがなんだかとても愛おしくて、

胸がキュって高鳴った。

「はー、学校で笑ったの久しぶり。」

雲龍大和君は「最後に笑ったのいつだっけな」

と言いながらまだ口にはえみが残っている。

「雲龍大和君ってさ…」

「大和でいいよ。」

「え?」

間髪入れずに雲龍大和君が

自分への呼び方を訂正する。

「だから、大和でいいって。許可ないとフルネームのままなんだろ?」

「ってかなんだよフルネームって」と、

また雲龍大和君は笑い出す。

「わかった!じゃあ今日から大和君って呼ぶから、大和君も花陽って呼んでいいよ!」

「え、俺も呼ぶの?」

大和君は驚いたように目を丸くする。

「当たり前じゃん!あ、そういえばお母さんが挨拶したいって言ってたからお家教えてよ!」

「え、いやそんなのいいって。いらない」

大和君はいらないって否定するけど、

これはもう決定事項。覆せないんだから。
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