桜が舞い、君に出逢う。
精一杯叫ぶと2階から美緒ちゃんが

降りてきた。

迷惑そうな顔をして、だけど。

「なに?私今推し眺めてたんだけど。」

「ごめんね美緒ちゃん!でもありがとう美緒ちゃん!」

「は?何が?」

やっぱり美緒ちゃんすこぶる

機嫌が悪いみたい。

いつもより口が悪いもんね。

「大和君連れてきてくれたんでしょ!?」

「あー、うん。あいつが見舞いに行きたいってしつこくて。」

「わー!ほんとにありがとねー!」

美緒ちゃんにガバッとくっ付いて頬を

擦り合わせると、頬を片手で押される。

「でも会えてないんでしょ?」

花恋ちゃんがそう尋ねる。

「夢だと思ってたのが現実だったのかも!」

「それなら良かったわね。」

花恋ちゃんがニコッと微笑む。

「ねぇ花陽。」

美緒ちゃんは怪訝そうに眉をひそめて

あたしの名前を呼ぶ。

「どうしたの?」

美緒ちゃんはチラッと

花恋ちゃんとお母さんを見て、

「ここで話すのもなんだから、私の部屋来て。」

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