桜が舞い、君に出逢う。
翌日、元気に登校して昼休憩の時間に

E組に行った。

そして大和君を呼び出して人気の少ない

校舎裏に行くと、あたしは思い切り

息を吸い込む。

「大和君っ!」

吸い込みすぎた。耳がじんじんするくらいの

大きな声が出た。

「あたし、大和君が好きです!付き合ってくださいっ…!」

精一杯、声を張り上げて、緊張を乗り越えて

大和君に気持ちを届ける。

「…!」

大和君はビックリした顔で、

口元に手を当てている。

「…聞くけど、俺のどこが好きなの?」

「全部だよ…。君の無表情な顔も、笑った顔も、眉をひそめた顔も、優しいところも、口が悪いところも、ぼけーっとした所も、仕草も、何もかも全部っ!大好きだよ。」

「ぼけーっとした所って…悪口?」

大和君は笑いながらあたしに尋ねる。

「ちっ、違うよ!いい意味で!いい意味なの!」

「そっか。花陽に告られた時、俺が2回も花陽を助けてくれたからだと思った。吊り橋効果ってやつ?違うと思うけど。」

あ、あたしが悩んでたやつ吊り橋効果って

言うのかな。

「それ、美緒ちゃんにも言われたぁ!」

「マジ?あー、そうだ。返事。返事ね。」

大和君は気だるそうにあたしの

告白の返事をしようとしている。

「俺、実はさ。人間に興味を持てなくて。」

「…え?」

これは、振られる?

「花陽のこと、まだよく分かんないからデートしない?」

デートしない?

デートしない?

このひと単語が頭の中で木霊する。

「デート、したい!」

「うん」

大和君は笑ってあたしの腕を引く。
< 56 / 300 >

この作品をシェア

pagetop