桜が舞い、君に出逢う。
「なんで殴ってんの?」

「私の家族を、傷つけたから。」

「うん。やり過ぎだから、来て。」

男子は目を塞いでいた手で

希空の腕を掴み、どこかへ消えていった。

(なに今の。状況が理解できない。)

一瞬すぎる出来事に、

クラス全員が困惑していた。

気まずい沈黙の中、それを破ったのは

彼女の泣き声だった。

「うぅぅ〜!痛いぃ〜!痛い〜!」

仰向けになって泣きながら、

彼女は赤黒く腫れた頬を抑える。

(希空のバカっ!やりすぎなんだよ)
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