桜が舞い、君に出逢う。
「ごめんなさい、立てますか?」

精一杯勇気を振りしぼって、

普段なら話しかけることすら怖いけど、

今はそんなことを言っている場合じゃない。

「立てない〜、痛い〜!」

仰向けになっている彼女を起き上がらせて、

私の肩を貸して保健室へと向かった。

終始彼女は痛い痛いと叫んでいたけれど。

保健室に着くとすぐに

彼女の頬には包帯が巻かれて、

その日は早退になった。

(大丈夫かな。治るかなあの頬。)

赤黒く腫れた頬なんて見たことがない。

「あら、貴方も少し頬が赤いじゃない。」

きっと彼女に叩かれた時に出来た傷だ。

でも彼女に比べたら私の傷なんて

大したことは無い。

治療は受けずにそのまま

教室に帰ろうとした。

「すみません、やっぱりこの子の傷も手当してあげてください。」

「…は?」
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