桜が舞い、君に出逢う。
「別に良かったのに。」

「いーや、ダメでしょ。美緒ちゃんのこと柔らかいほっぺたに傷がついたら俺泣いちゃう。」

そう言ってコイツは私の頬を触る。

「何触ってんだよ。」

そう言ってあいつの手を払い除ける。

「美緒ちゃん口悪ーい。」

「ぶりっ子かよ」

「…ねぇ、美緒ちゃん。」

さっきふざけあっていたのとは違う、

本気でまじのトーン。

「何?」

「俺、また美緒ちゃんに惚れたわ。」

驚いて、カッと目が見開く。

「なっ、何言ってんの!?」

どうせ遊び。そうじゃなきゃ困る。

「ホントだよ。ていうか、美緒ちゃん俺が美緒ちゃん好きなの遊びだと思ってるけどさ」

コソッと、耳元で囁かれた言葉。

いつもより少し低くて、色気のある声。

「本気だからね?」

ぶわっ!と、顔に熱がこもる。

「ははっ、照れてんの?かわいー」

「からかうの、やめてっ」

ほんとに恥ずかしくて、早足で歩き出す。
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