御曹司の極上愛〜偶然と必然の出逢い〜
 朝、仁を見送り、真琴は別荘周辺を散歩するのが日課になった。

 まだオープン前のリゾート内は、閑散としている。ホテル棟やショッピングモールではまだ工事中のところやテナントの準備、従業員教育をしていて人の出入りは激しいが、コテージは既に完成していてあまり人が来ないのだ。

 今まで都会で時間に追われていたのが嘘のような生活。数日ならいいが、この生活に慣れてしまうと、元の生活に戻れるか不安になる。

 夕食を作り始めるまでは、特にすることがない。食材も定期的に届けてもらっている。

 夕食を仁や春樹と食べるようになって数日、和食の材料も揃っているため、和食中心の料理にふたりは大喜びだ。毎日美味しいと残さず食べてくれる。

 食べてくれる人がいる喜び。誰かと食事をする喜びを思い出す。もう、両親を思い出しても、哀しいだけでなく、楽しい日々を振り返れるまでになった。それも、仁のおかげだ。感謝しかない。



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