御曹司の極上愛〜偶然と必然の出逢い〜
「休みにお礼はいらないよ。当然の権利だ」

 社長の考え方も尊敬できるのだ。

「ありがとうございます。一年経ってやっと現実を受け入れられた気がします」

「そうか。何かあったらいつでも相談してくれたらいい」

「心強いです」

「じゃあ、気のせいか……」と呟く社長。

「えっ?」

「いや、気のせいならいいんだ。なんとなく、何か悩みがあるのかぁと感じて」

 社長の言葉にドキッとする。まさか両親の一周忌を終えた夜に、記憶のない一夜を過ごしましたとは言えない……。

 動揺が顔に出ていないか不安になりながらも、この話をそっと終わらす。

「社長、他に何かご指示はありますか?」

「いや。今の所は特にない」

「では、会議の時間になりましたら、お声をかけさせていただきます」

「ああ」

「では、一旦失礼いたします」

 頭をさげ社長室を退出した。

 扉が完全に閉まった瞬間、真琴は大きく息を吐き出す。胸はドキドキが止まらない。

 社長は何も知らないはずだがひとり後ろめたい気持ちになる。さらに週末の事を改めて思い出してしまい、動揺した。





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