御曹司の極上愛〜偶然と必然の出逢い〜
 手元に託されたメモには、彼女の人柄を現すような綺麗な字で、老人の名前と連絡先と持病などが書かれていた。

 きっと痛む老人の背を擦りながら、必要事項を合間に聞いたのだろう。これがあるだけで、ご家族にすぐに連絡ができる。

「春樹、これ」

「これは?」

「さっきの女性が置いていった」

 メモを見た春樹も感心する。緊迫した状況で人を助け、救急車を呼び、必要な事を聞き出しているのだ。

「専務、俺が救急車に乗って行きます」

「ああ。頼む」

 こうして、春樹が救急車に乗り込み病院に向かった。老人は、早く病院搬送されたため一命を取りとめた。しかも、驚く事に親父の古くからの友人だったのだ。親父に会いに来て、社を出たところだったらしい。親父にも感謝された。

 彼女の名前を聞きそびれたが、うちの社の人事が人を見る目があれば採用しているだろう……。

 信じたいーー

 彼女の姿を城之内で見つけるのが楽しみだ。

 独身の『世界の城之内』のJJ様が運命の女性と出会った瞬間だ。



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