御曹司の極上愛〜偶然と必然の出逢い〜
 昨夜の記憶を呼び起こす。


 昨日は、仕事を有給を取って休んだ。


 両親が事故に遭い突然この世からいなくなったのが一年前。突然の事に受け入れられずこの一年を過ごしてきた。


 真琴は一人っ子で、両親の祖父母も亡くなっており親戚とも疎遠だったため、突然ひとりになったのだ。


 少しずつ現実を受け入れ、やっと一周忌を迎えたのが昨日。


 一周忌の法要をお寺でしてもらい、お墓の前で両親と長い間話をした。


 そして、そのまま帰る気にはならず、たまたま見つけたバーに入ったのは覚えている。


 翌日は土曜で休みだし、カウンターの端の席でひとり静かに飲んでいたはず。


 両親が亡くなって一周忌を迎え気持ちが緩んだのか、初めて涙が出た。現実を受け入れられず、この日まで泣かずにきたのだ。




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