御曹司の極上愛〜偶然と必然の出逢い〜
 言葉は丁寧だが冷たい印象を与える俺に、これで気軽に声を掛けれる者などいないだろう。

 挨拶を終え春樹のところに戻った俺は声を掛ける。

「春樹、頼みがある」

 式は続いているので、かなりの小声だ。

「?どうしました??」

「会場の左後方に、背筋をピンと伸ばして真面目に話を聞いている髪を一纏めにしている女性わかるか?」

 俺の言葉に春樹はさり気なく会場を見る。女性はたくさんいるが、長丁場の入社式で若干疲れの見え始める新入社員の中で、真面目に聞いている彼女は目立っているのだ。

「あの、目立っている美人さん?」

「ああ」

 容姿だけで目立つのだ。更に姿勢が良いので、際立っている。

「彼女がどうかしましたか?」

「詳しいことは後で話す。彼女の顔を覚えといてくれ」

「はあ。わかりました」

 普段から一緒にいる春樹が、不思議がるのも無理はない。俺から女性に興味を示すのも、話題に出すのも初めてなのだから……。




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