御曹司の極上愛〜偶然と必然の出逢い〜
 彼女がどこの誰かわかるまでに半年の月日が経っていた。

 ドバイと日本を何度も行き来し忙しい日々。ドバイでの事業を締結し、これから更に忙しくなるが、今回のプロジェクトを進めるに当たり、人員や各社対応のため一度日本に帰国した。

 この日は、春樹がドバイでのショッピングモール事業を担当する城之内不動産に朝から出向いていた。

 そしてお昼前に戻って来たのだが……。

「じ、仁!いた!いた〜」

 仕事中に俺を仁と呼ぶ事もタメ口も春樹らしくなく、そちらに気を取られ春樹の言っている意味が全くわからなかった。

「落ち着け。どうした?」

「いたんだ!」

「何が?」

「だから、彼女が!」

「えっ!?」今度は俺が驚く番だ。

「いたよ!見つかった」

「……。どこに?」

「城之内不動産の秘書課にいた!」

「そうか!って、城之内不動産って……」

「ああ」

 俺達が、言い淀むには訳がある。城之内不動産の今の社長が、(すこぶ)る評判が悪い。


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