御曹司の極上愛〜偶然と必然の出逢い〜
 『コンコン』専務の部屋をノックする。

「入ってくれ」

「失礼します」

 室内では、専務が電話片手に手招きしている。

「はい。そうですか。はい」

 専務は社長と会話をしているのだろう。真琴は、電話が終わるのを静かに待つ。

「わかりました」

 数分で電話を終えた専務が真琴に向き直る。専務は、花田社長より少し年上のダンディなオジサマだ。

「厄介な事になったな。どうも、昨日城之内社長の秘書にも直々に連絡があったらしい。だが、花田社長とも話し合い、城之内グループは取引を停止する結論になり連絡を入れていたので、取り合わなかったらしいんだ。ちょうど日本に居たのか、今度はこちらに乗り込んで来たんだな」

「そうですか。では、どうしたら……」

「社長も明日に戻ってくるから出直してもらおう」

「では、伝えて参ります」

「ああ。一緒に行くよ。何かあっては困るからかね」

「はあ……。ありがとうございます」

 真琴はわかっていないが、花田社長から専務に、くれぐれも真琴をひとりにしないように言われたのだ。

 以前から社長が真琴をさり気なくフォローしている姿に気づいている専務は、敢えて理由は聞かず了承した。


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