御曹司の極上愛〜偶然と必然の出逢い〜
 エレベーターで20階に降りた真琴は、城之内不動産のまだ誰もいない受付を通りフロア奥に進む。

 広い20階のワンフロアに、オシャレに配置されたデスク。あまり仕切りがなく解放感があり、窓の外にはお天気が良ければ富士山も見える。

 真琴の出勤は、他の社員達より一時間以上早くフロアはまだ閑散としている。

 真琴の定時が早いわけでも、誰かに言われたわけでもない。満員電車が苦手な真琴は、早めの電車で出社しているのだ。そしてまだ誰もいない空間でお花の手入れをしたり、フロアで気になる所を綺麗にしたり、オフィスの清掃業者では気づかない所まで綺麗にしていく。

 城之内不動産に訪れる来客は、いつ来ても綺麗に保たれたオフィスに感心する。

 ひとえに日頃からの真琴の手入れのお陰だと気づいているのは社長ともうひとり。遠くから密かに見守る、真琴に関心がある人物だけだろう……。

 目立つ事の苦手な真琴は、誰かに気づいても らおうとも褒めてもらおうとも全く思っていない。目立つ行動は、女性の中では揉め事しかうまないと過去の経験から悟っている。


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