御曹司の極上愛〜偶然と必然の出逢い〜
 最上階の最奥にある重厚な扉。

 真琴は、城之内社長と自分の間にある厚い壁に感じる。真琴の思いと反して躊躇なくノックする春樹。

 『コンコン』

「はい」

「月野さんをお連れしました」

「ああ。入ってくれ」

「月野さん、どうぞ」

 扉を開け中へ入るように促された。

「はい……」今すぐ逃げ出したい衝動に駆られるが、入るしかない。

 仁は、今か今かと待っていた。

「真琴、こっちへおいで」

 仁に呼ばれ恐る恐る部屋に入り驚く。最上階の大きな窓からは、素晴らしい夜景が広がり、部屋は見たこともない広さに豪華なつくりで言葉も出ない。

 城之内不動産の社長室とは比べ物にならない。どちらかと言えば、先日目覚めた高級ホテルのスイートルームに近い。

 入口近くに立ち止まり戸惑う真琴を、仁が迎えに行く。

「真琴、黙り込んでどうした?」

「えっ?いえ……」

「思っている事を素直に言ってくれ」

「あの、世界が違いすぎて……」




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