御曹司の極上愛〜偶然と必然の出逢い〜
 真琴の母親が花が好きだった事もあり、母と一緒に生け花の教室に通っていた。そして、せっかくならと資格も取得していた。大人になってからは趣味で続けていたが、まさか就職してから役に立つとは思わなかった。母に感謝だ。

 社長は、真琴の提案に業者を雇ってもいいと快諾してくれたのだが、真琴が一度自分にやらせてもらえないかとお願いした。

 真琴の作品を見た社長が感動し、それ以来真琴の仕事になっている。花を購入する経費だけでなく、真琴に仕事としての手当も出してくれている。一度辞退したが、業者を雇ったらもっと掛かるのだからと言われ、素直にいただく事になった。

 四十代後半の若き社長は発想も考えも柔軟で、社員の意見を取り入れ、会社をここ数年右肩上がりで成長させている。誰もが認める手腕だ。

 以前の社長は地位にあぐらをかいて、口だけだった。真琴も入社後に秘書課に配属され、新人で直接は担当しなかったがいい印象はない。今の社長に変わり社内全体の雰囲気が良くなった。城之内不動産に来る前は本社の部長だったと聞いている。

 真琴は、花を生ける事で母を思い出し心が温かくなる。そして癒やしの時間でもあり、更にはしっかり評価してもらえる今に感謝しかない。

 それも、ひとえに真琴の人柄なのだが、本人は全く気づいていない……。




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