雨の日にしか会えないキミ


すると、

大きな病院が目に入り、
彼女の言ってることを
すぐに理解していく。


そうか。

子どもの遊び相手に夢中で、
周りの景色なんて
気にしたこともなかったけど。


こんな近くに病院が建ってたんだ。


じっと、目の前の
病院を見つめていると、
彼女が口を開く。


「私が入院してたのは、
ちょうどあの病室だったんです。

あそこの窓から、
外の景色を見るのが好きで」


そうとなりで話す彼女の笑顔は、
とても優しくて、
花のようにかわいくて。

目が離せなかった。

そばに咲く、青いアジサイよりも
きれいに見える。


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