雨の日にしか会えないキミ
虹と、スマイル
「最後にもう一度だけ、
あなたに会えて良かったです。
ありがとう。
これでもうなんの悔いもありません」
「もっと早く……
声かけてくれてたら、よかったのに」
自然とこんな言葉が、
口からこぼれていた。
広げていた傘を閉じて
さびしく俺が笑うと、
彼女は背を向ける。
そして少しうるみ声で言う。
「ほんとうは、気持ち伝えずに
消えるつもりでいたんです。
初対面なのに、
いきなり告白しても困らせるだけ、
って……分かってたから、
病室からながめるだけで
満足だ、って。
でも、あなたが──」
「夜焚」
「え?」