俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜
目を開けると、真っ正面に立っていたのは、笑顔でお出迎えのスーツ姿の男だった。
金に近い髪色と細身のタイトで派手なスーツは、何度見てもホストにしか見えない。
でも、彼こそが今一番の協力者だった。
「……ただいま。弓削先生」
戻ってきたその場所とは、すすきののとある雑居ビルの空きテナントだった。
いや、空きテナントとは言っても、この弓削先生本人がお金を払って借りている場所。
悪いことも雑踏の中に紛れてしまえば、うやむやになり、誤魔化しが利く。
だなんていう、こじつけのような無理のある理由でこうした雑居ビルの空きテナントを借りているのだった。
前回まで借りていたハルニレビルの地下階では、とうとうやらかしてしまったので違うビルに変えた。
「さて、まずは帰還の乾杯でも」
使われていないバーカウンターには、三つのワイングラスとヴィンテージの赤ワインが一本。おつまみもついでに。
「最近の世の中は便利ですね。こんなおつまみひとつでも、自転車で届けてくれるんですよ?」
そう言いながら、グラスに注がれたワインは真上のダウンライトに照らされ、宝石のように赤く光っていた。