俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜

「やだなぁ、弓削先生。そんなに興奮しないで下さいよ。スローライフに関しては弓削先生の知識様々です」






……二年前。



天才魔術師先生の援助もあり、人間の身でありながらも、とうとう魔界へと足を踏み入れた。

窮地に陥った途端、死にかけの仲間を放って単身魔界へと逃げ込んだ、腑煮えくり返る程憎き男ーー師匠の仇である、あの半人半魔を追って。



その顔を思い出すだけでも、理性が闇に持って行かれて、意識の中には憎悪のみが残されてしまう。

ーーー俺の世界に彩りをくれたあの人を傷つけるなんて、奪うなんて許されない。

自らのこの手で始末せねば。

当時は衝動だけだったかもしれない。



魔族が住まい、魔族がただ争いの場としているのみの世界、それが魔界。

魔界に漂っている魔力の障気は、人間であるこの身を脅かすため、滞在の限界はせいぜい数日程度。

その限られた時間で、何度も足を運びながら、仇の後を追う。



情報を得るために、魔族と一戦交えたこともあった。

師匠から教わったこの陰陽術を携えて。

自分は【神童】ではない。よって魔族を滅する神力など持っていない。

だが、エリートと称された、今まで培ったこの戦術と能力を駆使すれば魔族と対等、それ以上に渡り合えた。
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