俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜
「この近辺で拾ったって言ってたけど…どこ?どこ?」
「あ、近くの野っ原です」
「何でかな。何でかな?…そこで魔族がバトったりしていたのかな?誰だろ。…なんか見てない?ね?」
「あ……」
バトったのは、自分です。
なんて、言えないもんだから。
本当のような嘘を述べることにした。
俺がランニングで野っ原に来た時には、黒い翼の彼がいて、少しお話しをした。
で、この拾得物を拾った。…という、簡単なお話。
自分と黒曜鬼は、鉢合わせていない。そんな魔族知らぬ存ぜぬということにした。
鳴海さんはそれ以上突っ込んでくることはなかった。
ルンルンで拾得物を布で包んで、陰陽師のあの霊符とやらをベタベタ貼ったのち、頑丈そうなアタッシュケースに丁重に納めている。
これで、あの忌々しい拾得物とはお別れとなった。
「リグ・ヴェーダがまさかのまさかでそれを狙ってくることはないのですか?だって彼は水晶鬼の『核』を持ってるんでしょ。『核』だけでも半人半魔の契約が出来るのなら…」
綾小路室長も拾得物が納められるのを見守りながら、懸念を溢した。