俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜

その話を始めると、次第に周りにギャラリーが出来てくる。

気付けば、冥王妃の聖魔や耶雲の側近らも興味津々に自分の話に耳を傾けていた。

戦いに明け暮れる魔族が、人間の食糧の話を真剣に聞く?その光景は、何とも滑稽だ。



そして、我らが冥王の一言は。



『それ…面白そうだな?』

『え?』

『人間とはわざわざ食いもん育てるのか。この世界でも出来るか?』

『ひょっとして、魔族が人を喰わなくて済む方法、あるの?』

冥王妃・聖魔の一言はとても衝撃的だった。




魔族にしろ、人間にしろ、神族にしろ。

人を喰らうのを、飽きた。

生きるために喰らうだけであって、正直美味いかどうかわからない。

食べるモノが美味いって何?




……そもそも、魔族と人間とでは『食べる』の意味が違う方向を向いているのだ。

己の魔力を維持し、生きるためだけであって、そこに娯楽的な概念はない。




最初は、人間界の食べ物を持ち込んだ。

子羊のヒレステーキと、野菜サラダと、赤ワインだ。



すると、これが思いの外大好評だった。

特に、奥様は興奮。



『わ、私達も子羊とレタスと赤ワイン育てるわよ!』



嘘だろ。

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