俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜
「え?犬?……伶士、腹に犬飼って…」
「あああぁぁぁっ!い、急がなきゃ!じ、じゃあね!」
「あ、おいって」
表情出さずに首を傾げる瞳真くんは構わず置き去りにして、その場を飛び出す。
バレた。バレたバレた…!
というか、何故勢いあまって顔を出す?犬コロよ!
だが、顔を出しっぱなしのぽめは、懐から俺の顔を見上げて「わんわん!」と訴えるように吠える。
れえしどの!おら、せんごくぶしょうと遊びたいぞ!
とまって!とまって!
……えぇい!タピオカの時は引き返したが、今回は無理だ!戦国武将と遊ぶ?呑気な事を言うな!俺がこんなにも必死で逃げてんの、おまえのせい!ケモノ立入禁止区域に入ったおまえのせい!
我は止まらん!止まらんぞぉぉぉ!
…うおおぉぉっ!
戦国武将風なしゃべりになってしまった。
ぽめを隠して歪な体勢で走るより、ぽめが晒されていようが、校内からさっさとトンズラしてしまった方が早い。
そう悟った俺は、ぽめの顔がぴょっこり出たまんまでも構わず、持ち前の俊足でダッシュ。
人混みを掻き分け、校内を駆け抜け、正面玄関を飛び出した。