俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜
掌を上に向けて差し出したこの手へ、想いを重ねるように念じる。
「……」
自分の方へと伸びてきた俺の手をじっと見た後、またしてもヤツは、俺にチラッと混惑の視線を送るが。
頷いてみせると、恥ずかしそうに視線を逸らし、渋々といった感じでその手を掌に重ねてくれた。
繋いだその手からは、ほんのりと温度を感じる。
傍にいるという、この有り難い現実を理解させてくれるぐらいの心地良い温度……たったこれだけが、俺を安心させてくれるとも知らないで。
ヤツはまだ動揺が収まらないのか、動作がぎこちないままだ。
そして、繋いだ手を引いて、台本通りに、花嫁を伴い観客に向かって共に一礼する。
本当の式のように、歓声に包まれて。
天からの祝福のように、スポットライトの光を浴びて。
まるで、神の前で『永遠』を誓い合うかのように。
ーーー『永遠』なんて、無いのかもしれないけど。
なずなの事も含めて、今だけはそれを信じて感じていたい。
信じることしか出来ない俺は、本当に無力だ。
でも…こうして傍にいたいんだ、ずっと。
台本通りに、なずなは観客の渦に向かってブーケを放り投げる。
放物線を描いて落ちる百合のブーケと、光が重なった。