俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜
教室から後夜祭の花火を見る?
そんなこと、思い付かなかった。
確かに、教室の窓からはグラウンドが丸見えだ。これは花火がしっかり見える。
それに、誰にも邪魔されず静かに観れるんじゃないだろうか。
ホント、特別席だ。
そんなお得なプチ情報を頂いて、五島さんとは別れた。
「……それにしてもまったく、伶士までこの私をドッキリさせる真似とか、マジ腹立つんだけど……伶士、どこ行くんだ?」
家庭科室から離れ、何故か上階への階段を上り始めたところで、まだ先程の件をぶつくさと文句たれるなずなに引き止められる。
上じゃなくて、下に行くんじゃないの?みたいな。
だが、こんなお得なプチ情報、利用しない手はないだろう。と、思った。
「なずな、教室で花火見よう」
「……え?」
「今からグラウンド向かっても間に合わないだろうし、移動が面倒だろ。いっそのこと教室行こう」
「マジか。……あ、ちょ」
なずなの返答は最後まで聞かず、手を強く引いて階段を上る。
ガランとして、電気も消えた薄暗い校内。
部活終わりに忘れ物を取りに入ったことはあるけど、こう……学園祭、なずなと二人きりという要素が加わったシチュエーションは、ちょっとドキドキする。