俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜
冒険心をくすぐられるのか、このシチュエーションが、恋愛物語のテッパンだからか。
そうして、なずなの手を引いてやってきた教室とは、自分のホーム、縄張り、二年七組だった。
「おぉー。七組もう片付けたの?」
「店じまい早かったから」
「へぇ。うちのクラスはまだ片付いてないよ」
早々に装飾類は取り外し、後は教室の後ろに下げた机と椅子を元通りの位置に直すだけのすっきりとした教室に、二人で忍び込む。
窓際の方へ赴くと、マイクを通した音声が響いていた。
始まる前の挨拶だ。もう始まる。
「なずな、なずな、ここ座ろ」
「わかったわかった」
なずなの手を引いたまま、誘うように窓際に寄せられた机の上に浅く腰掛けた。
目の前の窓を開けると同時に、ドン!と大きな音が響いて、彩取りどりの光が遥か頭上から降り注ぐ。
体を震わす音と範囲広く輝く光に、二人揃って「おぉー」と声をあげてしまった。
「間に合ったー」
「おぉー。夏だ。夏だな」
そして、次々と打ち上がる花火を二人並んで下から見上げる。
期待以上の規模の輝きに、二人揃って無言で見入っていた。