俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜

「伶士……」

「明日何がどうなるかなんてわからないよ。こんな状況だ。けど……俺は、おまえのこと信じてる。信じることしか出来ないから」

「……」



そうはっきり言い切ると、なずなは再び視線を下に落とす。

どう答えたらいいかわからなくて困っているんだろうか。

でも……今、はっきりと答えなくていい。

ちゃんと考えて、これからどうするべきか、なずな自身が決めてほしい。

傲慢な類の感情は押し付けたくないから。



「……」



なずなは下に視線を落としたまま、まだ無言でいる。

何も言葉を発さず。

それは仕方がないことだろう。いろいろ考えることはたくさんある。

だけど、この件に関して、俺がどういうスタンスでいるのか、わかってもらえればそれで良しだと思った。

何も邪魔はしない。明日も、その次の日もずっと、変わらない日々が続いてくれるなら。

これが俺の最大の譲歩であり、最大の丸投げ、ワガママだ。



……本当に、明日のことはわからない。

でも、俺らは互いを大切に思い合っている、その事実さえあれば。

またきっと、俺たちの望む明日は来る。

そう、信じているんだ。




「おまえがいれば、それでいい」


< 229 / 515 >

この作品をシェア

pagetop