俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜

「え……」



……俺は、その時気付いた。



俺は何も出来ない、無力な人間。……ではない。

大いに出来ること、俺にしか出来ないことがあったのに、気付かなかった。

なずなにとっての自分の存在に対して、過小評価をしていたということに。



(俺ともっと話し合いたかったって…)



……迷っている場合じゃなかった。

なずなの決断に従うという丸投げという結論は正しくなかったということにも。

もっと踏み込んで良かった、ということにも。

今更、気付いた。



(俺を巻き込みたくなかったって…)



表面では、復讐の鬼になっていても。

……本当は、『これでいいのか?』と思うところもあったのでは。

しかし、家族同然の兄との板挟みになっていたのではないか。

そんな『まさか』の推測が頭をぐるぐると巡る。



俺の出した答えは……間違っていたのか?



「な、なずな……」

「でも、ごめん」



振り絞ったように出た声は、震えていて。



「剣軌が待ってる。……行かないと」

「ま、待って、まだ間に合……なずな!」

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