俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜

俺も、心の底のどこかで、壁の一枚向こうに立ち入る事をしなかった。

俺自身も怖気付いていたんだ、きっと。

俺らの間に壁一枚あることを、なずなの気持ちの問題にしている場合ではなかった。



(……)



こんな短かったやり取りの中で、気付かなかった自分の心情に気付かされて、もう後悔だけでしかない。

俺は一体、何をやっていたんだ?

なずなの何を見ていたんだよ……!



ふと、窓の外を見ると、玄関前の来客駐車場が目に入った。

いつかのあの時と同じく、菩提さんのあの高級RV車に乗り込んでいくなずなの姿を見かける。

何を思う間もなく、車は慌ててるかのように早々と発進し、あっという間に学校の敷地から出て行った。



その光景を、立ち尽くしたまま茫然と見ていたが…。

……今の俺は、今から何をするべきか?

頭の中で決断を迫られる。



(ま、待て……)



……いや、待っている暇は無い。



そう考えが纏まると、咄嗟に教室へと体が向いた。

綾小路さんに連絡するために、教室に置いたままにしてあるスマホを取りに行くことにしたのだ。
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