俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜
時間が迫り来る中で、迅速な決断が求められる。
恐らく今から探し回ったって、もう間に合わない。
もう、時間がない…!
(ごめん……)
……でも、迷っている暇はない。
覚悟を決めて、息を軽く整えた後、目の前の『起こりうる未来』の映像を視界の真ん中に見据えた。
念を込めてキッと凝視する。
そして、右の手を翳して、赤い光とその映像に……触れた。
指先が赤い光に触れると、俺の決断に答えるかのように光はフワッと膨らみ、噴き出す。
鮮やかな赤い光に全身が包まれて、目に見える何もかもが、消えた。
……俺は、決めた。
決めたんだ。
なずなとの明日を。
周りの人と、この全ての尊いモノを護る……その為に。
「……伶士殿?」
自分を呼ぶ声に反応して、パチッと目が覚めた。
開けた視界に映っていたのは、白い石膏ボードの天井と。
視界の隅には、俺の顔を覗き込む、不安げな表情をした真凛の顔だった。
「……真凛?」
「わっ!目が覚めた。もぉー!」
目を開けた俺と視線が合った真凛は、長く息を吐いてへにゃっと脱力している。