俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜


まさか、この復讐に関する件が伶士の耳に入ってるとは思わなかった。

大方、拓狼さんが喋ったりしたんだろうな。ほんっとに、伶士を巻き込んでくれるなよ。

……けど、この伶士の口振りは、考え抜いた上でのセリフのようだ。まあ、私も匂わせるような発言は口にしていたし、結構前から勘付いて気にしていたのかしれない。



私としては、純粋に生きている伶士をこんな醜い感情に巻き込みたくなくて、敢えてこの話をしなかった。

二人でいる時は、そんなものは取っ払って過ごしていたかったというのもあるけど。

まさか、恋人との甘い時間にやれ復讐だやれアイツが憎い、殺すという話をする女はいるだろうか。



けれども、伶士は知っていた。



そして。

私は何も告げなかったのに……ここまで、私のことを考えてくれたんだ。

だなんて思うと、胸がちょっとくすぐったい感じがする。



『明日また会えればそれで良い』

『おまえがいれば、それで良い』



私との明日を望んでくれている。

居場所が……そこに、伶士の隣にある。



(嬉しい……)
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