俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜
風神召喚の印を指で結んだまま、冷気をも発しているような冷ややかな視線を投げ掛ける。
「憐れみの目が嫌だとか、手を差し伸べられるのが嫌だとか。おまえの嫌だ嫌だこそ吐き気がするな。甘ったれやがって」
「……何だって?」
「全然可哀想じゃないとか言っときながら、おまえの全身から被害者オーラ、ダダ漏れなんだよ。全然可哀想じゃないって虚勢を張るぐらいなら被害者ぶるな」
「僕のどこが被害者ぶってるとでも?!」
「わからないのか?そんな意識か?……腹立たしいな。優さんも、こんな中途半端なヤツ放っておけばよかったのに」
剣軌を纏う霊力の圧が、次第に濃くなる…。
まるで、胸の奥にこさえた怒りと比例しているかのようだ。
「『正義の味方のつもりか』と相手を糾弾する。……これが一番被害者ぶってる発言だと思わないの?なのに否定するとか、悪ぶってタチが悪いな。中途半端もいいところだ」
「……」
「そんな被害者オーラダダ漏れしてたら、あの優しい優さんのことだ。手を差し伸べるに決まってるだろう」
あのリグ・ヴェーダが歪んだ顔のまま、剣軌をただ睨み付けている。
一言も発さず、黙ったまま。