俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜

「は……」



何を言ってるこいつは。何で剣軌が冥王の軍師に、何で魔界に行かなくてはならないんだ?

……だが、完全否定するには、一歩足りなかった。



(あ……)



動機、思い当たる点はいくつも……ある。

まさか、リグ・ヴェーダを追って魔界に足を踏み入れていたというのか?!

たまにいなくなる出張……そういうことだったのか?!

魔界の出入りは、総本山では禁じられている。最大のやっかいな敵である魔族との交流を持つなんて、もってのほかだ。

まさか、まさか。剣軌はそんなことしないよな……?

掟を破れば、主上から罰が下る。



しかも、高位魔族の血液……だと?



それを浴びれば、人間である剣軌の体内に魔力が充填される。

魔力は人間の体内の霊力を呑み込み、蝕む。

それは、高位魔族のように濃い魔力だったり、量が多くなるに連れて体の機能を奪うほどの症状が出る。……先の花魁女郎蜘蛛の件での伶士の症状がまさにそのレベル。

しかし、血液だけど、冥王のレベルでは例え少量とはいえ、魔力が格段に濃く、浸潤する力が強いので……人間程度では魔力に体を乗っ取られるようなものになるのだ。
< 311 / 515 >

この作品をシェア

pagetop