俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜


「へぇ……正気なの?」



一方、リグ・ヴェーダは小馬鹿にしたような言い方をするが、実際その顔はいつものように笑ってはいない。

この今の状況がいかに危険なのか、理解はしているようだ。

証拠に、剣軌を捉えるその目は泳いでいるような気もする。



「何ドン引きしてんだ」

「いや、するでしょ普通。ここまで本気……」



すると、今度は剣軌の方が高らかに笑う。



「あはははっ!……冗談を言ってるとでも思ったか!おまえの罪は冗談で笑って誤魔化せるものじゃない」

「へぇ…?」

「だから、薄ら我慢のへぇはやめろ。……俺には、優さんが、あの人が全てだった」



剣軌はそう言って、試験管をグッと握る。その手は震えていた。



「家族もいない、愛も慈悲もわからない。ただ生かされているだけの俺の世界に、彩どりの色を着けてくれたのは……優さんだ」

「……」

「……色が付いた世界を、希望を失って彷徨っているおまえらにも見て欲しい。たぶん、優さんはそう思っていたはずだ。……なのに、おまえらはそれを無視した。無視どころか、踏み躙った……」
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