俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜

試験管を握る剣軌の指の間から、濃い魔力がどんどん噴き出して漏れている。

感情で暴走しかけている霊力に、魔力が反応している。

こっちが感じる不快感も増しているのがわかる。……冥王の血液由来の魔力が充満してきている証拠だ。



(ダメ、ダメだ……)



お願い。お願いだ。

このままでは、剣軌の霊力が魔力に溶けて呑まれていく。

それ以上は、やめて。もう、戻ってこられなくなる。元の剣軌に……!




何も出来ずにただ傍らに座り込んで、事の成り行きを見守るしか出来ない無力な私は、ただ、ただ念じる。

無理だと思っていても、願わずにはいられないのだ。

……だけど、届くこともなく、最悪の物語は進んでいってしまう。



「これ以上、踏み躙られてたまるか。俺は俺のやり方で、あの人を護る。あの人の……音宮家の矜持も、血統も……護る、その為に。今ここで、おまえを殺る」

「剣軌!やめろ、やめろってぇぇっ!」



喉が擦り切れるほどに、渾身の叫び声をあげる。

無我夢中で立ち上がり、剣軌のもとへと飛び出すが、またしても魔力の壁に弾かれて今度は尻をついてしまう。

何で……何でだよ!

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