俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜
「……ああぁぁ!何でおまえんとこに行けないんだよぉっ!何で、何でそこまでやるんだよ!剣軌ぃぃっ!」
「……なずな」
「一族のプライドとか継承とかどうでもいいんだよ!……なぁ!やめてくれって!やめてぇぇ!」
剣軌が、この神童継承の一族を大切に思ってることはよくわかる。親父の血を、能力を後世に伝えたいのも、よくわかる。
でも……だからってプライドだけではなく、命をかけてまで護るものじゃない。
私はそう思っている。
それは……私のただのワガママかもしれない。
《明日また会えればそれで良い》
《おまえがいれば、それで良い》
今日も明日も、明後日も。
大切な人達と変わりなく笑顔で過ごしたい。
例え、一族が没落しようが何しようが。
私のかけがえのないものは、一族の能力、血じゃない。
人、だ。
私の周りにいる、いつも温かく見守ってくれる、感謝すべき人たち。
その中心には……剣軌、おまえもいるのに!
「なずな」
頭を抱えて取り乱す私に向かって、剣軌が私の名前を呼ぶ。
それは、昔の幼少時代のように、低く、優しい声で。