俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜
私らはヤツを『殺る』ことを目論んでいたけど……そうしなくてよかった、と今なら思う。【相殺】後のヤツのリアクションを見たら、剣軌だって同じ事を思ってるはず。
そして、巻き込み事故ではあるが、みんなが目標にしていた『リグ・ヴェーダから魔力を奪う』ことが達成されたのだ。
なので、今更ヤツを死なせるわけにはいかない。
けど……何で自ら命を投げ出すような真似を?!
ヤツの思惑がどうであれ、そこは阻止しなければならず、私は指で印を結び、呪を唱える。
「…漆黒の火炎、金赤の闇…」
私の口にした言霊で出現したのは、あの『黒い炎』だった。
生きたように揺らめく、黒い炎。
花魁女郎蜘蛛を仕留めた禁呪だ。
……あの時は、呪詛返しのせいで、命をかけて一回ポッキリしか発動することの出来なかった禁呪。
けど、今の私は【神童】。
神帯に守られて呪詛返しは無い、黒炎を思いのままに操れる。
いつの日か肌をチリチリと焦がした黒炎も……今は、何でもない。
今なら、出来る。
「黄金の地獄……【黒炎の華】!」