俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜

私の言霊に反応して、黒炎は轟音をあげて私の印から放たれる。

だが、印を向けて攻撃を放った先は、リグ・ヴェーダの背中……ではなく、その先にある水晶鬼の『核』そのものだ。



魔力を失ったタダの人間に不動縛を使う繊細な霊力調整は、剣軌には出来ても不器用な私には出来ない。

ならば、いっそのこと『核』をぶっ潰してしまえばいい。

タダの人間リグ・ヴェーダを避けて、黒炎をおびただしい魔力を延々と放つ水晶鉱物にぶつける。

黒炎の勢いに阻まれ、リグ・ヴェーダは『核』の手前寸前で足を止めた。

……足を止めた、までは良かったが。



(……何っ!)



バキィーン!と、甲高い金属音が響く。

私の放った【黒炎の華】が、身を捩るようにあっちの方向へと流されているのだ。

禁呪が跳ね返された!と、思いきや……でも、同時にガラガラと岩壁が崩れるような音もする。

標的とした水晶鉱物は、左半分ヒビが入って崩れ落ちていた。

……中途半端に跳ね返された?!

さすが高位魔族の『核』ともいうべきか。『核』の状態で、禁呪を半分跳ね返すだなんて!
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