俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜
……みんな、こうやってガーディアンと通信するのか。
変な感心はさておいて、一刻の猶予もない状況で私は簡易な印を結ぶ。
そして、先程蓮華から伝えられた言霊と技の名前を直ぐ様口にした。
「……潤朱の反、韓紅の囀り……」
言霊を唱えると、水晶鉱物の真下には素早く紅い線の術陣が敷かれた。
……かかった!後は私の力量のみぞ知る状態だ。
だが、リグ・ヴェーダの身体は魔力の黒いモヤに完全に飲み込まれていた。
これでも……まだ、間に合うのか?!
けど、迷ってる暇なんかない。
どうにかなれ。ただそう念じて術式を放つのみだった。
「猩々緋の華……馬頭歌神相殺【紅蓮華炎陣】!」
私の声に反応して、術陣から朱色の炎が薄く立ち昇る。
まるで花弁のように揺めき、でも速度をつけて渦巻きながら標的の水晶鉱物を囲んで、上から押し潰すように姿を飲み込んでいった。
印を結んだ手が、途中に圧力を感じてドンッ!と押し返される。
魔力が術式に抵抗しているのだと思う。
……【相殺】に抵抗?!さすが高位魔族だ。従来なら魔力分解は一瞬なのに。