俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜
『待った。待った待った。ストーップ。正義を巡って何二人で睨み合っちゃってんの』
難題を問い合う俺たちの間に割って入ったのは、目の前の夜薙和羅と共に、俺が潜伏しているビルの屋上にやってきた男だった。
名前は、音宮優。
『その議題は答えがない。混沌とするでしょ?ねえ、大石くん?』
二つの黒い翼を背中に背負ってるという悍ましい俺にでさえ、何の警戒心も見せないどころか、微笑みかけてくる。
背筋がゾッとする。
そして、彼の一言はカルマを背負ったこの俺をもっとゾッとさせるのだ。
『正義とは、善悪じゃない。自分の大事なものを護る、その為に自分の中に掲げた信念。……というか、誰だって善であり悪の部分を持ってる。正義を善悪の評価の物差しにしてはいけないよ』
『は……』
『そういう思想のもとでは誰もが平等だ。人間は正しくなれない生き物、とはうまいこと言ったねぇ?和羅』
……その時、俺は思った。
音宮優。この男こそ、偽善者だ。敵だ。
俺たち『弱者』に、綺麗事を言って手を差し伸べようと『正義』の面を被ってやがる。
本当は、俺たちのことを見下して嘲笑っているくせに。