俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜
けれど、今の俺たちは『弱者』ではない。
抗う力を持っているのだから。
『正義』とは、何か。
……『正義』とは、『悪』を懲らしめるもの。
皆からの賞賛を大いに受けて、太陽の下で堂々と暮らすもの。
俺、大石明生は、その『正義』を傍で見て生きてきた。
それは俺の母親だ。
母親は、裁判官だった。
『正義』を振り翳して『悪』に罰を下す、正義の味方。
その名の通りに相応しく、いつも洗練された身なりで、背筋を伸ばした凛とした佇まいをしていた。
そして、性格としても悪いことは許せない正義漢のようで、間違ったことは間違ってるとはっきり申してしまう。
清く正しく、間違ったりはみ出すことは許されない。
それは子の教育にも反映されていて、ちょっと悪いことをしたら、こっぴどく怒られた。
だが、そんな母の姿は、第三者から見ると眩しいらしい。
『大石さんってば、裁判官なんて仕事もこなす上、子供の教育や家の事もしっかりしてるのよね』
『その上、PTA役員も引き受けてるんでしょ?凄いわよね?懇談会の時、先生たちにも臆する事なく意見言えちゃうし』
『素敵よね、凄いわよね』
俺と同じ年頃の子を持つ母親、いわゆるママ友らからも、羨望の眼差しを浴びていた。