俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜
行きすぎて小煩くも感じたが……自慢の母親、だった。
あの事件が起きるまでは。
それは、俺が小学五年生の時。
学校帰りに、PTA役員の集まりで来校していた母親と並んで歩いていた時のことだった。
けど、こんな歳にもなって母親と並んで歩くなんて恥ずかしい。そんな嫌悪を持って、足早に母親の先を歩く。
少しでも離れたい、そんな事を思った俺は赤信号にも関わらず横断歩道を渡るという、ちょっと間違ったことをした、その時だった。
ちょっとの間違いだと思っていたら、それは大きな間違いで、横断歩道を渡る俺の横から車が直進してきた。青信号だから当たり前だ。
突っ込んでくる車を前に、誤ちを犯した後悔と恐怖で立ちすくんでいると、母親が飛び出してきて、俺を歩道へと突き飛ばす。
母親は俺の代わりに車に跳ねられ……即死だった。
母は、俺を庇って死んだのだ。
正義漢の強い母親が、身を挺して我が子を救う。
周りでは美談として語られた。
……どこが、美談だ。
それを美談として語る周りの奴らには見えないところで。
遺された俺たち家族には……地獄が始まった。