俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜

『私はここにはもういられない。……明生、一緒におばあちゃんのところに逃げよう?』



姉に手を差し伸べられたが……その手を取らなかった。

母は俺のせいで死んだのだ。

祖母も俺が憎くて憎くて仕方がないはず。

娘が死んだ原因の張本人の俺が、その母の傍にいられるワケがない。

姉は、一人で家を出て行った。



荒れ果てた家には、我を失い見る影もなく変貌した父と二人。

ボロボロの姿で外をほっつき、たまに帰る父は、酒の勢いで俺に、とうとうその一言を浴びせる。

何故、母が死んでおまえが生きているのだ。と。



それは、俺にもわからない。

何故、母が死んで俺が生きているんだ?

みんな、人望があり有能な母が死んで……誤ちを犯した俺が生き残ったことを嘆いている。

ならば、いっそのこと、俺が死ねば良かったのに。

何故、母は俺を庇ったのか。

何故……何故?



(母さん、何でだよ……)



その答えは、死人に口無しで、もう母から聞くことは出来ない。

頭を抱えて、俺も嘆く。

生きている負い目に、押し潰されそうになっていた。

< 359 / 515 >

この作品をシェア

pagetop