俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜
『私はここにはもういられない。……明生、一緒におばあちゃんのところに逃げよう?』
姉に手を差し伸べられたが……その手を取らなかった。
母は俺のせいで死んだのだ。
祖母も俺が憎くて憎くて仕方がないはず。
娘が死んだ原因の張本人の俺が、その母の傍にいられるワケがない。
姉は、一人で家を出て行った。
荒れ果てた家には、我を失い見る影もなく変貌した父と二人。
ボロボロの姿で外をほっつき、たまに帰る父は、酒の勢いで俺に、とうとうその一言を浴びせる。
何故、母が死んでおまえが生きているのだ。と。
それは、俺にもわからない。
何故、母が死んで俺が生きているんだ?
みんな、人望があり有能な母が死んで……誤ちを犯した俺が生き残ったことを嘆いている。
ならば、いっそのこと、俺が死ねば良かったのに。
何故、母は俺を庇ったのか。
何故……何故?
(母さん、何でだよ……)
その答えは、死人に口無しで、もう母から聞くことは出来ない。
頭を抱えて、俺も嘆く。
生きている負い目に、押し潰されそうになっていた。