俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜
赤ん坊のびわたんを抱っこした美奈人と……それに同伴していたのは、一人の女性。
美奈人と顔がそっくりなことから……え。ひょっとしてこの人。もしや美奈人とびわたんのお母さん?
お母さんというには生活感が無さすぎる、髪の色も明るい、ちょっとオシャレな若いお姉ちゃんだ。
全然お母ちゃんぽくない。ましてや美奈人ほどの大きい子供がいるなど。
「……おや、ゆずら。まさか第二子出産してるなんて……」
「こっちもまさかだよ。まさかおまえが目を開けるなんてさ」
三十代頃の女性なのに、喋り方が少々蓮っ葉だ。おまえ、とかって。変に偉そうな雰囲気は、まるでギャル全開であるうちのなずなさんのようだ。
すると、おじさんは「あはは」と笑う。
「……奇跡が起きたのさ。……日頃の行い?……みんなとお別れする時間を貰えたんだよ」
そんな中、一人ふるふると震えて涙を堪えてるのは、美奈人だった。
「な、何て言ったらいいのかわからねえ……優せっかく会えたのにっ……なのに、これからいなくなっちまうなんて、これが最期なんてよっ……」
美奈人は、素直すぎる。
堪えきれない涙をボロボロと流す兄の顔を覗き込むように、腕の中のびわたんが「うー」と声を出していた。