俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜
「その上、事務所の経営もなずなや他の社員の指導も任せちゃって……重圧かけさせちゃって…ごめん。師匠失格ですな……」
「そんなこと、そんなことないです!まだ自分が未熟だっただけで……」
「これに関する沙汰は、柿乃ちゃんに任せるよ。罰はちゃんと受けるように、ね……」
「はい……」
……あんなに冷静沈着な菩提さんが、涙を流しておじさんに身を寄せる姿には驚いたけど。
復讐を試みて鬼となろうが、冷酷だろうが、この人もおじさんの愛に包まれて育った人の子なのだと思った。
限られているとはいえ、おじさんに一目会おうとここに訪れた人の数といい……大なり小なりおじさんに救われた人の数は、計り知れないのだと思う。
この温かい陽だまりのような笑顔と優しさと、存在。
それだけ、皆にとっておじさんの存在は大きかったのかと感じた。
……もちろん、俺だって。
「……会社の権利と財産は剣軌に、マンションとか俺の私的財産は、なずなに……」
おじさんの細く弱々しい声が響くと、傍で並んでいた二人は静かに頷いた。
この状態でこそだからだろうか。
急遽始まった財産分与の話に戸惑う。