俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜
…それは、もしもの可能性として考えていた。
主上からの指令を謹んでお受けした以上、【夢殿】を護衛を優先して動いていかねばならない。
しかし、状況が変わり、ヤツの標的から【夢殿】が外れた。
と、なると、優先事項が変わってくる。
……ありのままの自分で、ヤツと面と向かうことが出来る。
騙し騙し抑えようにも困ったこの思いを…とうとう、ぶつけることが出来るのだ。
「まあ、復讐を唆しちゃってる発言に近いものがあるね?ごめーん。秘かにリグ・ヴェーダを『相殺で捕縛』ではなく『抹消』を考えてる君に。…拓狼に怒られそ」
「……いえ。ありがとうございます、弓削先生」
「ありがとうだなんて。…君も心の奥底では好機だと思ってたから、今日僕のところに来たんでしょ」
図星をつかれて、しまったと思う。
これだから、腹の中真っ黒という同じ穴の狢は居心地が良いんだか悪いんだかわからないものだ。
そう、これは…窮地ではない。
好機だ。