俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜
なずなの視線の方向は……布団の上に静かに放られてたおじさんの右手だった。
なずなが何を言いたいのを気付いたのか、三人はハッとして、揃って空いたおじさんの右手に手を伸ばす。
三人で手を重ね合って、しっかりとおじさんの手を握ったのを目にして、なずなは安心したように息を吐いた。
……もう、本当に。
最期を迎えるんだ。
「師匠、優さん……ありがとうございました。俺はこれからも貴方を目標に生きていきます」
菩提さんは、完全に目を閉じたおじさんに、そう声を掛ける。
なずなと目を合わせて頷き合った後、なずなが握ったままのおじさんの左手の上に、自分の手を重ねた。
「伶士……」
「え?」
なずなが菩提さんと揃って、俺の方に視線をやる。
何となく、言いたいことがわかった。
俺も二人の方へ赴き、頷く。
二人が握るその手の上に、更に自分の手を重ねた。
寂しがり屋のおじさんのために。
繋いだその手は、絶対に離さない。
魂が、違う世界に行こうが、何処に行こうが。
その手が無くなっても、心はいつまでも繋がっているから。