俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜
「だって、優さんが意識を取り戻すなんて、俺にとってはどんなに有り難いことだったか。もし、優さんが目を覚まして一言でも言葉を掛けてくれるのだったら……正直、そんな復讐どうでも良かった」
「菩提さん……」
「死ぬ直前のほんの少しでもいい……。目を合わせて、話をどれだけしたかったか。……やっぱり、感情的に動くもんじゃないね?」
そう言って、菩提さんは何かを思い出したかのように、また笑い出す。
この人……こんなに素直に笑うキャラだっけ?
菩提さんにとっては、おじさんが全てだったのだ。
そして、そんな彼は一言。俺に感謝を述べたのである。
「奇跡を……ありがとう」
……奇跡だなんて。
謙遜ではなく、俺はただ単に助けたくて、納得できる未来を選択しただけなんだけど。
でも、一人でも。
たった一人でも、救われた人がいたのなら。
勝手に未来を選んだ罪悪感も、ほんの少し軽くなる。
菩提さんを……この人を助けられて、良かった。
そう思うと、顔が僅かに緩む。
お互い笑い合うという状況になってしまった時、菩提さんの背後から気配がした。
「剣軌、院長せんせーが探してたぞ」
さっきから忙しくしては姿を見れなかった、ヤツが現れた。