俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜
(なずな……)
俺は、既に出立し行ってしまった自分の大切な人を、この夜空を見上げて想う。
(待ってるから。いつまでも……)
必ず、俺の元に戻ってきてくれることを、信じて。
「伶士さまには、この忠晴がお傍にいますよ。共に帰りましょう」
「あ、忠晴」
背後から突然、忠晴が登場した。
というか、恐らく気配を消して今までの話を聞きながら、限りなく傍で待機していたのだろう。
さすが、執事。
執事服姿の忠晴は、すでに車を正面玄関に横付けしていた。
丁寧に後部座席のドアを開けて、俺を誘う。
「さあ、帰りましょう。伶士さま。……この忠晴、少しでしたら父から聞いた優さんの昔話を伶士さまにお話しすることが出来ますよ?」
「そんな、別に無理しなくてもいいよ」
「いえいえ。戻りましたら、咲哉さんオススメのホットヨーグルト、準備致します」
「へぇ。それは飲んでみたい」
そんな会話を忠晴と交わしながら、星空を横目に車に乗り込む。
濃紺の夜空に見守られながら、俺を乗せた車は帰路へと着いた。