俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜
だから、身体が弱り切る前に、俺の能力が覚醒していたら……なんて、後悔させられる。
「伶士、それは違うよ」
俯いていた顔を上げる。
おじさんは穏やかな表情で、首を横に振っていた。
「でも……」
「もし、あの『事変』の戦渦で伶士の【夢殿】が覚醒していたら、間違いなく伶士自身が狙われていた。命を落とす危険も今回以上にあったと思う。そうなると、戦いはますます激化していたはず。今、生き残っている仲間の何人かが命を落として、今ここに生きていなかったかもしれない」
「……」
「だから、伶士の力はあの時に覚醒してなくて良かったんだよ?」
……確かに。今回も争いが激化したのは、あの黒い翼の彼が俺を狙ったからだろう。
おじさんにそう諭されると、何も言えなくなるな。
「願わくば、その力を覚醒させることなく、伶士には平穏な人生を過ごして欲しい。と、思ったけど。世の中、平穏平凡が一番。毎日同じ事の繰り返し、それが一番の平和。……でも、そうは行かなかったなぁ」
「それは……違うよ」
今度は、俺がおじさんにその言葉をそのまま返す。